イワツバメは本来は山や海岸の断崖に数十個から数百個の巣を集団で作って子育てする鳥といわれている。近年、このイワツバメが急速に都市に進出してきている。よく注意してみると、都市の中でツバメの営巣する場所、営巣の仕方とイワツバメの営巣する場所、仕方は微妙に違っている。ツバメは1〜2階建の住宅や駅前の商店街などの1軒1軒の軒下に単独で巣を作るのに対し、イワツバメは橋、学校、マンション、駅、消防署、工場といった比較的大きなコンクリート建造物に集団で営巣する。
橋、学校、マンション、駅、消防署、工場等はイワツバメから見れば巨大な岩場に見えるのかも知れない。
(1)浅川流域のイワツバメ
イワツバメはもともと浅川流域にいたものではなく、昭和の初め頃、長野県から害虫駆除の目的で、人工的に多摩地方に移されたものが、浅川流域やその周辺に定着してきたものといわれている。近年、八王子・日野市内でコンクリート橋の架設、道路、鉄道の高架化等の工事の進展に伴い、イワツバメの営巣適地が増加している。
(2)イワツバメ営巣調査
@調査の内容と方法
浅川流域及びその周辺のどこに、どのくらいの規模でイワツバメが営巣しているかを1987年から毎年、浅川の本支流の流域別に八王子カワセミ会の会員が分担して調査している。
A調査結果
ア.全体の数の動向
巣の数は1990年まではほぼ200前後、1991年から増加し、1993年には300を超ええ、その後は400巣前後で推移している。営巣箇所数は1995年以降、毎年ほぼ30箇所となっている。
イ.営巣する構造物
コンクリート建物(A)、コンクリート道路橋下(B)、コンクリート鉄道高架下(C)及びその他(D)に営巣する。(B)のなかにはコンクリート高架道路が含まれている。(B)及び(C)は構造的には全く同じで、営巣箇所数でみるとこの2つを合わせたものが最も多い(56%)。その他(D)はJR八王子駅の鉄製デッキプレート橋駅下及び京王線南大沢駅前のアメニトライアル多摩21であるが、後者の建物は既に取り壊されている。
構造物別営巣箇所数
コンクリート建物(A) | ||
コンクリート道路橋下(B) | ||
コンクリート鉄道高架下(C) | ||
その他(D) | ||